コラム

弁護士に依頼する意味はありますか?

損害保険会社がCMをしているように、被害者側に全く過失がない0対10と言われるような事故では、被害者の方はご自身で相手方保険会社の対応を行わなければなりません。では、1対9や2対8の事故ではどうなのでしょうか。また、そのような場合、弁護士に依頼する意味はあるのでしょうか。

ご相談内容

 先日、自分の車で国道の第1車線を走行していたところ、第2車線を並走していた車が第1車線に車線変更した際に右側からぶつけられるという事故に遭いました。すぐに警察や保険会社に連絡をしたところ、自身の保険会社の担当から「お車についての交渉はこちらで行いますが、お怪我については相手の保険会社からの連絡を待ってください。」と言われました。今回の事故で自分にも過失があることは理解してます。車の件で過失の交渉などを保険会社で行ってもらうのも大変助かりました。でも、怪我については相手の保険会社と直接話しをしないといけないと思うと気が滅入ります。この様な場合、保険会社に対応してもらうことはできないのでしょうか。

【結論】自身の保険会社はお怪我の部分について対応ができません

 保険会社が契約者(保険契約をしている方、そのままですね。)に代わって相手方と過失割合等について交渉等を行うことを「示談代行」といいます。この示談代行、現在では殆どの車両任意保険に付帯していますが、当たり前ではなく、保険会社が示談代行できる範囲にも限りがあります。詳細は省略しますが、保険会社が被害者の方と相手方保険会社との間に入ってお怪我について示談代行することはできないと考えられています。

 そして、このことは被害者の側の過失が「0」である場合のみならず、「1」なり「2」(またはそれ以上)の過失がある場合も同様です。

【対策】過失がある場合でも弁護士へのご依頼をご検討ください

 しかし、相手方保険会社との対応が被害者の方のストレスとなるのは過失がある場合とない場合とで全く変わらないと思われます。そして、当然ながら弁護士費用特約の使用についてもその点で差はありません。

 自身の過失が「0」でないと弁護士に頼んではいけない、あるいは、弁護士に頼むメリットがない、とお思いの方もいらっしゃるかに思われますが、そんなことはなく、別のコラムでも書いたように(【弁護士に頼んで損をしませんか】参照)交通事故に遭った被害者の方に対し、ご依頼をいただいた弁護士が提供できる結果というのは賠償金の増額だけではありません。初めて事故に遭った場合、相談できる方がいらっしゃらない場合、あるいはどこに相談したらいいかがわからない場合、不安ではないでしょうか。以前に事故に遭われていたとしても、その際の保険会社から十分な賠償がされなかった場合、今回も十分な賠償を受けられないのではないか、と思い悩むことはないでしょうか。

 弁護士がご依頼をいただけば、弁護士はご依頼者様の味方です。これも、過失がある場合とない場合とで変わりありません。そして、その安心感、保険会社対応というストレスからの解放、そして何よりも治療への専念、これが弁護士にご依頼をいただいた場合、被害者の方に対して提供できる価値です。

 どうぞ、ご自身に過失があった場合であっても、弁護士へのご相談を躊躇しないでください。

【注意点】

 上記のように、お怪我をされた場合の大変さ、弁護士へご依頼をいただく価値、その場合の弁護士費用特約の使用可否について、被害者の方に過失があろうとなかろうと変わるところはありません。ただし、被害者の方に過失がある場合とない場合とで賠償金の増額幅は異なってきます。したがって、被害者の方に過失がある場合は、過失がない場合に比べてより弁護士費用特約が使用できるかどうかは重要になってきます。

 とはいえ、過失があることだけをもって弁護士費用特約が使用できないということはありませんし、過失がある場合は弁護士費用特約がないと弁護士に依頼できないということもありませんので、ぜひ、疑問に思ったらご自身に過失があった場合であっても、弁護士へご相談ください。

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