コラム
福岡市の交通事故に強い弁護士【被害者側】
コラム
警察庁交通局の発表によれば、令和3年の交通事故件数は305,196件、負傷者は362,131人に及びます。
幸いにも怪我人がいない交通事故もありますが、多くの場合、何らかのお怪我をされ、治療が必要になることでしょう。交通事故の被害者の方がお怪我をされた場合、その治療費は加害者側の保険会社が支払うことが多いですが、それに伴って保険会社から治療の打切りを言われることもしばしば。保険会社から治療の打切りを言われた場合、それは絶対なのか、考えてみました。
【ご相談内容】
3か月ほど前、信号停車中に後方車両に追突される事故に遭いました。事故直後から首と腰に痛みがあり、警察の対応が終わった後に近くの整形外科で診察を受けました。その後、その整形外科に通って治療・リハビリを行っています。治療の甲斐あって、日常生活にはほとんど支障が出ないようになってきましたが、まだ違和感があり、通院を継続しようと思っていました。そんな中、相手の保険会社の担当者から電話があり、月末で治療を終了するよう言われました。まだ通院をしたいという希望を伝えても、「社内の規則だから」の一点張りです。もう治療には行けないのでしょうか。
保険会社が医療機関に直接治療費を払っていることもあり、保険会社の担当者から「治療を終了してください。」、「治療費を払えるのは○○(具体的な時期)までです。」などと言われると、それ以上治療に行けないと思ってしまいます。しかし、それは誤りで、保険会社からそのように言われたとしても、それ以降も治療を続けることはできますし、もし、保険会社が「それ以上治療に行ってはいけません。」などと言おうものなら、それは虚偽と言わざるを得ません(流石にそのような保険会社の担当者は少ないと思います。)。ただし、仮にそこまで言わなくとも、それに類すること、あるいはそのように被害者の方が勘違いしかねないような発言がされることはあります。
ここで注意していただきたいのは、「治療を継続できる」ことと「保険会社が治療費を支払うこと」は別問題であるということです。「交通事故の治療=保険会社が治療費を払うべき」と考えがちですが、少なくとも保険会社はそうは考えていません。したがって、「保険会社が治療に行っていいと言ったから、いったん自身で治療費を払ったとしても、後から保険会社が返してくれる」というのは間違いということになります。
では、保険会社は、どのような場合に治療費を支払い、どのような場合には治療費を支払わないのでしょうか。残念ながら、これはケース・バイ・ケースと言わざるを得ず、保険会社によっても異なれれば、同じ保険会社でも担当者によって異なるようです。
なお、このように保険会社が治療費を支払うことを「一括」や「一括払い」などと言ったりしますが、法的にはこれは仮の支払い(仮払い)の一種と考えられ、たとえ被害者であっても強制することはできないという特徴があります。保険会社の担当者の多くはこの辺の事情については熟知していますので、被害者としてもこのあたりを前提として交渉していくことが必要となります。
では、上記の相談者の方が保険会社の担当者に治療の継続を認めさせるにはどうしたらいいのでしょうか。この場合、「まだ通院を継続したい」と伝えることは交渉上有効とは言えません。この表現はあくまで被害者の方の希望であり、保険会社は被害者の希望を聞くことが求められているわけではないからです。交渉上有効と考えられるのは、①なぜ保険会社が治療の打切りを言ってきたのかという理由と、②その理由を覆す事情を提示することです。例えば、保険会社の担当者が治療を打ち切る理由が「怪我は治っている」ことだとすれば、被害者の方として提示すべきは、「怪我が治っていないこと」となるわけです。
ちなみに、上記の相談で保険会社が言っている「社内の規則だから」という場合、そのような方針はあるかもしれませんが、規則とまで呼べるものはありません。このような言い方はかなりミスリーディングだと思われます。弁護士が治療期間の交渉をする場合、このような「規則」があるとさえ言われません。
以上、保険会社から治療を打ち切ると言われた場合に被害者の方がご自身で対処する方法について考えてみました。もちろん、治療期間の交渉を弁護士に依頼することは可能です。ご自身では交渉できそうにないな、と思われる場合は、一度弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。
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