コラム

後遺症の請求が得意な弁護士

 交通事故に遭った場合、治療を継続して症状が寛解すればあとは相手方保険会社に対する賠償請求を残すのみ、ということになります。しかし、車両が絡んでくる事故ではその衝撃は普段の日常生活で体験することのないレベルのものであり、お体に対するダメージも計り知れません。しっかりと治療をしてもどうしても症状が残存することを否定できません。そんなとき、残存した症状が後遺障害にあたるのであれば、認定を受けなければなりませんし、加害者からの賠償を受ける必要があると思います。このような場合でも、弁護士はお力になることができると思います。お困りの方はご相談をご検討ください。

ご相談内容

 4か月前に交通事故に遭い、治療を継続してきました。保険会社の対応には特に不満もなく、病院の先生も愛想はないですが、しっかり治療していただいて、段々とよくなっている感じがあります。そんな折、相手方の保険会社の担当者から連絡が入り、「今月末をもって症状固定にしませんか」とのこと。もう治療ができないのかと思って尋ねると、そうではなく、「これ以上の治療費の支払いをしないだけで自費で通院するのは自由です」、「あとは後遺障害の部分で賠償します」、と言われました。段々とよくなっているとはいえ症状はあるので、治療は継続するつもりです。ただ、急に後遺障害などと言われてもよくわからず、ちょうど処方された薬もなくなったタイミングだったので病院の先生にそのお話をしました。病院の先生は「そろそろ薬を減らそうというタイミングだったんだけどね…」と言うだけで他はノーコメント、どうしたらいいのかわからなくなりました。このまま相手の保険会社にまかせて後遺障害での賠償の提案を受けていいのでしょうか。

後遺障害≠後遺症

 弁護士以外で厳密に使い分けをしている方がどれだけいるか、という点ではありますが、「後遺障害」という概念と「後遺症」という概念は厳密には異なります。特に、「後遺症」の方は厳密な定義があるわけではありませんが、通常、傷病に対して一定の治療を行なってもいまだ残存している症状のこというものと考えられ、一方、「後遺障害」はその中でも法律(交通事故であれば自賠法施行令、その他、労災の場合などが考えられるところですし、新型コロナウイルス感染症でも罹患者の後遺症が問題となっていました。その意味で、後遺症や後遺障害は交通事故に限った話ではありません。)に定められた基準に合致するもの、ということができます。

交通事故における後遺障害

 交通事故においては、後遺障害が残ったな、と考えるとき、それをそのまま相手方(保険会社)に伝えても、それを前提とした賠償はしてくれません。それはあくまで被害者の言い分にすぎない、と考えられるからです。後遺障害には等級があり、いずれかに該当するかを中立な立場で判断してもらう必要があります。したがって、後遺障害が残ったな、と考えるとき、損害保険料率算出機構という第三者機関に対し、後遺障害の等級認定申請を行うことになります。

 損害保険料率算出機構において後遺障害の有無について審査判断をしてもらうためには、当該機構に対してその存在を申し立てなければなりません。その方法は大きく分けて2つあり、一つが、被害者自ら損害保険料率算出機構に等級認定申請を行う「被害者請求」と呼ばれる方法(厳密には損害賠償請求という方法をとります。)であり、もう一つが、加害者側の保険会社が損害保険料率算出機構に被害者の後遺障害等級のいわばお伺いを立てる「事前認定」という方法です。

 いずれの方法がよいのか、という議論がありますが、これはケースバイケースであろうと思われます。もし、後遺障害が残ったな、あるいは、残る可能性があるな、という場合には、お近くの弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。

後遺障害等級認定申請が得意な弁護士

 後遺障害等級認定について依頼すべきはどのような弁護士なのでしょうか。

 後遺障害等級認定は、数をこなせばいい、というものではないと思います。認定を受けるべきものはきっちりと認定を受けて取りこぼさない、きわどいものについてはしっかりと立証して認定を勝ち取れる、というのが依頼すべき弁護士ではないかと思います。その見極めはなかなか難しいかもしれませんが、①あまり楽観的なことばかり言わない弁護士と、②見通しを理論立てて説明してくれる弁護士は後遺障害等級認定申請が得意な弁護士といえるのではないでしょうか。法律相談をしたら必ずしも依頼をしないといけないわけではありません。ぜひ、ご自身が「任せられる」と思う弁護士を見つけてみてください。

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